「この会社、合ってないと思う。でも、なぜか辞めようとすると体が動かない」。転職を考える繊細な人が必ずぶつかるこの感覚に、ちゃんと名前がついている。
脳は矛盾を嫌う——転職できない本当の理由
1957年、社会心理学者のレオン・フェスティンガーが提唱した「認知的不協和」という概念がある。
人は「知っていること(認知)」同士が矛盾すると、強いストレスを感じる。そしてそのストレスを解消するために、認知のどちらかを書き換えようとする。
「この会社は合っていない」+「でも今まで頑張ってきた」。この2つが同時に存在すると、脳は矛盾を消したがる。そのとき一番楽な解消法が「今の会社も悪くないかも」と思い直すことだ。
バグとわかっていても作動する——職場が合わないのに辞めない心理
1959年のフェスティンガーの実験では、つまらない作業をしたあとに「面白かった」と他者に伝えた人ほど、自分でも「面白かった」と信じるようになることが示された。
人は自分の行動を正当化するように、記憶と感情を書き換える。「3年間いたんだから、きっと意味があるはず」——その思考も、認知的不協和の産物かもしれない。
「辞められない」のは弱さじゃない——繊細な人と転職の関係
動けないのは、脳が自動的に現状維持を正当化しているから。意志が弱いんじゃない。そういう仕組みで動いている。
それを知るだけで、少し楽にならないか。
「合ってない」という感覚を否定しなくていい。その感覚こそが、正直な情報だ。